1982 年 79 巻 3 号 p. 790-797
胃粘膜組織activatorの微量測定法を検討確立し,次いで生検胃粘膜組織について,胃潰瘍における組織activator活性を健常胃,潰瘍形成性胃癌と対比検討するとともに,治療経過による推移を検索し,以下の成績を得た.
(1) 胃粘膜5mg中の組織activatorの抽出を行い,低濃度fibrin寒天平板法を適用することにより,再現性の高い微量測定法を開発した.
(2) 胃潰瘍における胃粘膜組織activator活性は,健常胃に比し有意の充進を示し,とくに活動期で顕著であった.また同一症例による追跡では,加療とともに正常化傾向を示した.
(3) 潰瘍形成性胃癌では,胃粘膜組織activator活性の亢進を認めなかつた.