日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
大十二指腸乳頭部癌に関するX線学的研究
十二指腸および胆管X線像と病理所見との対比
山本 義樹中澤 三郎内藤 靖夫
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1982 年 79 巻 6 号 p. 1272-1280

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抄録

大十二指腸乳頭部癌の早期診断に役立てるため,切除された乳頭癌35例の新鮮標本を用いて,十二指腸および胆管X線造影を施行し,肉眼所見を参考にしてX線所見を,乳頭部の解剖学的基本形態の変化に基づいて各々,I,II,III型およびA,B,C型の3型に分類し,病理所見と対比した.I型からIII型へ,またA型からC型になるにしたがつて,癌病巣は大きく,癌浸潤範囲の増大がみられ,十二指腸X線像および胆管X線像を比較することにより,癌の大きさおよび浸潤範囲の判断が明瞭となつた.I型の16例中11例(68.8%),A型7例の全てが乳頭部内に限局しており,乳頭部癌の早期診断には1-A型の発見が大切であり,そのためには乳頭開口部および胆管末端部の微細な所見を描出し,把握することが重要である.

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