日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肥満者の肝障害に関する臨床病理学的研究
(第3報)摂取エネルギー制取初期に生ずる血清GPT活性の一過性上昇について
吉次 通泰原田 尚岩瀬 透佐々 隆之
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1982 年 79 巻 6 号 p. 1303-1308

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抄録

標準体重の+15%以上の男性肥満者9例につき摂取エネルギー制限後の血清GPT活性の変動を検討した.1)エネルギー制限後の血清GPT活性の変動様式は,制限初期(2週以内)に一過性に上昇,以後下降する型と轍的に下降する型とに区牙できた.2)肥満度(実測体重/標準体重×100%)当りの一日摂取エネルギーは,一過性上昇型で10.2±1.4kcal,漸減型で13.8±1.8kcalであり,前者で有意に少なかつた.3)エネルギー制限4週間の一日平均体重減少量は,一過性上昇型では肥満度で0.38±0.04%,実測体重で210±40g,漸減型では各々0.16±0.05%,100±27gであり,前者で有意に大きかつた.過度の摂取エネルギーの制限は,初期に血清GPT活性の一過性上昇を起すとの結論を得た.

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