日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Lactoferrinの膵疾患診断への応用にかんする研究
RIA法の開発とその臨床的応用
米島 正廣
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キーワード: 慢性膵炎, 膵癌, RIA法
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1982 年 79 巻 6 号 p. 1309-1317

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抄録

ヒト初乳よりlactoferrin(LF)を精製し,そのRIA法を開発した.さらにこれを用い,PS test採取液中のLFの定量を行ない,膵疾患におけるその診断的有用性を検討した.
開発したLFのRIA法は2ng/mlまで定量可能な,特異性の高い測定系であつた.LF濃度は対照群に比して石灰化慢性膵炎群では平均P分画35倍,S分画32倍,非石灰化慢性膵炎ではそれぞれ13倍,5倍の上昇がみられた.対照群の(M+2SD)×2=476ng/ml以上を陽性とすると,その異常出現率は石灰化慢性膵炎群で60%,非石灰化慢性膵炎群で36%であつたが,膵癌では総て陰性であつた.PS test採取液中のRIA法によるLF測定は慢性膵炎の診断法として重要な位置を占めるものとなろう.

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