1982 年 79 巻 7 号 p. 1452-1459
PS試験を施行した114例において,十二指腸液中の胆汁酸,コレステロールおよび燐脂質を測定した.胆汁酸総排出量,最高胆汁酸濃度およびP1分画のglycine抱合型胆汁酸/taurine抱合型胆汁酸(G/T比)はPS試験の3因子と明らかな相関関係を示さず,膵外分泌機能と胆汁酸の動態の間には有意の相関を認めなかつた.一方,1ithogenic indexは加齢とともに増大し,50歳台でピークを示し,さらに,肥満者において著明ではないが有意に高くなることが明らかになつた.胆汁脂質の変化を疾患別に検討すると,胆汁酸排出量が胆石症,胆のう症で有意に低下し,G/T比が胆石症で有意に上昇したが,その他の疾患ではこれらは変化しなかつた.lithogenic indexはすべての疾患で健常者と有意の差を示さなかつた.