日本消化器病学会雑誌
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肝硬変の予後判定における肝細胞機能総量の意義について
高瀬 修二郎
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1982 年 79 巻 8 号 p. 1589-1596

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抄録

肝癌合併例および特殊型肝硬変を除く肝硬変99例を対象として,肝細胞機能総量を反映する蛋白合成能および色素排泄能検査のうち,どの方法が予後判定のよりよい指標になるかについて検討した.各検査項目で3年以内死亡率が明瞭な差を生ずる境界値を設定して2群に分け,両群の累積生存率を比較した.その結果,肝硬変の長期の予後の判定には血清albumin, α2HS glycoproteinなどの比較的turnover rateの遅い血清蛋白の測定が優れており,その測定は早期の予後判定にも有用であつた.一方,早期の肝不全死の推定にはturnover rateの早いprealbuminよびICG最大除去能がよりよい指標であり,cholinesteraseはいずれの判定にも有用と考えられた.

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