日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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健常胃粘膜及び胃潰瘍再生粘膜の走査電子顕微鏡学的研究
船津 隆
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1983 年 80 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

健常胃粘膜と胃潰瘍再生粘膜を内視鏡下に生検採取し, 走査電子顕微鏡にて観察した.
胃潰瘍再生粘膜は, 潰瘍底に伸びる一層の扁平な上皮から, 次第に柵状の構造を成し, 更にそれが分節して敷石状となり, 胃小窩が形成されて幽門腺類似構造をとり, 周囲の胃粘膜に移行していた. 高倍率の観察では, 細胞表面に多彩な形状をした突起を多数認め, 粘液分泌の一形態と考えられた. 同時に, 腸上皮化生も37%に認めたが, その発生, 進展形式は, 個々の胃小窩に別々に発生し, それが融合して, 次第に広がつてゆくと思われる. なお, 腸上皮化生部と胃上皮部, 胃底腺部と幽門腺部は, それぞれ画然と境されていた.

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