日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
意識下膵血行動態に関する実験的研究
第III編: 胃相および腸相からみた膵血流反応の解析
河野 保井上 一知嶋 廣一橋田 修平小笠原 敬三鈴木 敞戸部 隆吉
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1983 年 80 巻 10 号 p. 2240-2248

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抄録

膵実質内に交又熱電対法の電極を埋め込んだ意識下犬を用い, 胃相及び腸相と膵血流の関連を検討した. まず胃内に肉汁, グリシンまたは生理的食塩水を各々同量注入したところ, 3者ともほぼ同一の膵血流増加が惹起された. また balloon による胃内腔の機械的拡張を試みたところ, その拡張時期に一致した血流増加がみられた. 十二指腸内0.1規定塩酸注入により膵血流増加が惹起された. また, 十二指腸内腔の機械的拡張によつても, 膵血流増加が観察された. 意識下, 生理的状態では, 胃からは主として神経性機序 (胃-膵反射) により, 十二指腸からはセクレチンによる体液性機序と神経性機序との両者により, それぞれ膵血流が調節されていると思われる.

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