1983 年 80 巻 11 号 p. 2339-2346
22例の門脈圧亢進症剖検例の胃, 食道壁の静脈にゼラチン添加ミクロパックを注入し, 食道壁内血管走行をすだれ状血管走行部, 3~4本の拡張, 蛇行した血管の縦走する部, および両者の移行部の三つの部分に分けて観察した. (1) すだれ状血管走行部は食道•胃粘膜接合部から2~3cmにわたる吻合, 蛇行の少い多数の細血管の走行部である. (2) 移行部は全ての症例では明らかにできないが約1cm位の幅で血管の複雑な走行があり, 静脈瘤の最も高度な部で粘膜下層の血管に重積して豊富な粘膜固有層の血管がみられる. (3) 静脈瘤高度な部では, 食道内腔への隆起 (内視鏡でみられる隆起に相当する.) は粘膜下層を走る血管を幹に, それから分枝された多数の血管から構成されている.