1983 年 80 巻 12 号 p. 2525-2532
非ステロイド系消炎鎮痛剤の多くは, いろいろな消化管粘膜障害作用を有することが知られているが, 長期投与における病態像に関する検討は少ない. 我々は, ビランや潰瘍を発生させ得ない程度の濃度 (3mg/kg/day) のインドメサシンを4週間にわたつてラットに自由摂取させて, その胃•十二指腸粘膜細胞動態の変化について3H-thymidine autoradiography により検討した. その結果, 胃底腺部では増殖細胞帯の拡大を伴う標識細胞の増加を認めたが幽門腺部, 十二指腸では変化を認めなかつた. このことは, インドメサシンの ulcerogenic action には消化管粘膜に対する直接障害作用が存在することを示すと共に, その長期投与では胃底腺部で adaptation が起きていることを示唆するものである.