1983 年 80 巻 12 号 p. 2547-2555
アルコール長期飲用者における肝病変の進展を知るために, 反復肝生検を施行した62症例について臨床病理学的に検討した. 25例は断酒により生化学検査, 組織学的所見何れも改善を認めた. 37例は飲酒を続け1年以上の間隔で反復肝生検を受けた. 18例の肝硬変例では隔壁が広くなる傾向をみた. 非硬変例19例中11例が持続飲酒により1年から7年2カ月で肝硬変に進展した. この11例では初回生検時に門脈域中心静脈間線維性結合(P-C結合)は8例, 肝細胞周囲性線維化は6例にみられた. 硬変化した11例中9例にそれらの経過中アルコール性肝炎を確認した. 初回生検時P-C結合を呈した症例は, 持続飲酒により比較的早期に硬変化する傾向をみた.