日本消化器病学会雑誌
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肝細胞癌における肝組織亜鉛の動態と臨床的意義について
亀田 幸男
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1983 年 80 巻 12 号 p. 2556-2563

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抄録

肝細胞癌を合併した場合の非癌部肝組織亜鉛の変動が診断的意義を有するか否かを検討するために肝細胞癌非合併の肝硬変や慢性肝炎の肝組織亜鉛量と, これらに肝細胞癌が合併した場合の非癌部肝組織亜鉛量を比較した. 方法は原子吸光法の他に亜鉛の局在を知るために組織化学的方法と分析電顕的方法を用いた. その結果, 肝細胞癌を合併した肝硬変, 慢性肝炎肝の非癌部肝組織亜鉛量は肝細胞癌非合併の肝硬変, 慢性肝炎肝に比べ有意に増加しており診断的意義がある. 特にAFP低産生肝細胞癌の中にも非癌部肝組織亜鉛の増加例が高率に存在した. 非癌部肝割面上の組織亜鉛の分布はほぼ均等で, 組織化学的には肝小葉の主に門脈域周囲に局在した.

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