日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Mitomycin C Microcapsules の肝動脈内注入による肝細胞癌の治療
土屋 聖二三島 昭彦斉藤 正之中山 隆雅波多 野等桧山 義明岩間 章介野村 文夫大槻 俊夫河野 邦彦大西 久仁彦中嶋 征男奥田 邦雄後藤 信昭隆 元英
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キーワード: 肝細胞癌, 血管造影
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1983 年 80 巻 2 号 p. 185-193

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抄録

9例の門脈腫瘍塞栓例を含む切除不能肝細胞癌20例に対し Mitomycin C Microcapsules (MMCmc) 20mgを肝動脈内に注入し, その抗腫瘍効果について検討した. 血管造影及びCTで腫瘍縮小の判定可能な16例中, 6例 (38%), 3例 (19%) にそれぞれ50%以上, 25-50%の腫瘍縮小効果を認めた. 又, 血清 α-Fetoprotein (AFP) 値が, 治療前に300ng/ml以上の13例で検討すると, 10例 (77%) にAFP値の明らかな減少を認めた. 全症例での3カ月及び6カ月生存率は, 75%及び63%で, 初回に高度の門脈内腫瘍塞栓を認めない13例では, 6カ月生存率は83%と良好であつた. 副作用としては, 一過性の食欲不振, 軽度の肝機能悪化と骨髄抑制作用を認めたが重篤な副作用は一例も認めなかつた.

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