日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
トリプシンインヒビター投与の膵外分泌機能に及ぼす影響
大木 篤
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1983 年 80 巻 2 号 p. 214-222

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抄録

ラットに合成トリプシンインヒビター (T.I.) を1日1回10日間経口投与した. T.I. 投与により膵重量は増加し, 膵DNAあたりの蛋白含量とDNA含量が増加した. 膵の trypsin と lipase 含量は著明に増加したが, amylase の増加は少なかつた. T.I. 処置膵の caerulein (Cn) 刺激に対する外分泌の容量反応曲線は対照群と差がなかつたが, 10倍高濃度側に移動した. T.I. 処置膵の外分泌反応量は増加したが, 各酵素の膵含量に対する放出率は対照の1/5に低下した. 本研究では, T.I. をラットに経口投与すると膵は肥大増生し酵素含量も増加するが, Cn 刺激に対する膵外分泌反応の感受性と反応性 (酵素放出率) が低下することを示した.

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