消化吸収試験におけるトレーサーとしての重窒素 (15N) の評価ならびに膵内分泌障害が膵性消化吸収障害をひき起こすかどうかについて15N標識米を利用して検討した. Wistar 系雄ラットを膵管結紮群, 単開腹群, コントロール群, Streptozotocin 糖尿病群の4群に分け, 15N標識米投与後の糞便, 尿中への15Nの排泄率および血中15N濃度を測定した. 膵管結紮群では, 15N糞便排泄率の高値, 血中15N濃度の低値がみられ, 消化吸収障害の存在が確認された. 従つて重窒素はトレーサーとして消化吸収試験に有用と考えられた. 糖尿病群では, 15N糞便排泄率や血中15N濃度はコントロール群と差がなく, 従つて膵内分泌障害に由来する消化吸収障害の存在は認められなかつた.