日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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血清 Elastase-1の膵疾患における臨床的意義
渡辺 伸一郎白鳥 敬子大井 至神津 忠彦竹内 正
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1983 年 80 巻 4 号 p. 1001-1006

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抄録

血清 Elastase-1の臨床的意義について, 確定診断された膵疾患63例を中心に, 同一検体におけるAmylase と対比検討した. Elastase-1の測定は RIA-kit (Dainabot 社製) を用いた. 異常値出現頻度はElastase-1が66.7%で, Amylase の41.3%に比してより高率に認められた. 一方, 急性発作を起こした膵炎9例の経過観察における Elastase-1の経日的変動をみると正常化までに要した平均日数は25±15日と, Amylase の7±5日に比し数週間正常化の遷延が認められた. また, これは臨床像と良く一致した.
従つて, Elastase-1は Amylase に比して膵疾患のスクリーニング検査法としてより鋭敏であり, 膵炎の経過観察において治療や治癒判定の有力な指標となるものと考えられた.

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