日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
肝疾患における血清 sialyltransferase 活性に関する研究
血小板の影響について
渡辺 勇四郎志沢 喜久岩渕 省吾河野 誠前山 史朗藤井 守水口 明洋清水 昭一岡部 和彦
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1983 年 80 巻 4 号 p. 963-969

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抄録

sialyltransferase 活性は血液凝固時に血清中で上昇し, その上昇は主とし血小板に由来する. したがつて本酵素の測定に際しては, 採血から遠心までの時間および末梢血小板数によりその値が大きく影響されることを考慮しなければならない.
各種肝疾患で血清酵素活性を測定すると, 肝硬変で明らかに低値で, 肝癌で著明な高値を示す. 肝硬変患者の循環血漿中では本酵素活性は健常者と差はないが, 血清中では健常者に比べ明らかに低値となる. この原因は肝硬変における血小板減少にある. 一方肝細胞癌や転移性肝癌患者では本酵素が循環血漿中で高値を示し, さらに血液凝固時の上昇が加わり著明な高値となる.

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