日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
CEA産生ヒト低分化腺癌2株のヌードマウスへの移植継代について
江崎 友通中谷 勝紀宮城 信行酒本 和則白鳥 常男高橋 精一小西 陽一
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1983 年 80 巻 5 号 p. 1118-1125

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抄録

CEA産生ヒト胃癌2株 (NSC-4, NSC-5) のヌードマウスへの移植継代に成功し, その特性について検討した.
1) 腫瘍NSC-4を採取した患者の術前血清CEA値は41.7ng/ml, NSC-5は27.0ng/mlであつた. 2) NSC-4は18代目, NSC-5は11代目まで継代し, その継代中ヌードマウス皮下での腫瘍の生着率は100%であつた. 3) NSC-4, NSC-5の移植マウスの血清CEA値は双方とも移植後経時的に上昇し, 皮下移植腫瘍の大きさと血清CEA値の間に有意の相関が認められた. 4) NSC-4, NSC-5ともに原発腫瘍は低分化腺癌であり, 継代を重ねても基本的には組織型に変化はみられなかつた. 5) NSC-4, NSC-5ともに, 原発巣と継代腫瘍で, 酵素抗体法により癌細胞の細胞質内にCEAの局在を認めた.

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