日本消化器病学会雑誌
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門脈圧亢進症の超音波診断
松谷 正一木村 邦夫税所 宏光土屋 幸浩大藤 正雄奥田 邦雄
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1983 年 80 巻 5 号 p. 1168-1177

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抄録

門脈圧亢進症 (門亢症) における超音波診断法の有用性を明らかにするため, 門亢症60例に超音波検査を施行し, 門脈各部位の径, 脾の大きさならびに側副血行路の有無につき, 健常者100例を対照として検討した. なお門亢症例には全例に経皮経肝門脈造影を施行し同時に門脈圧を測定した. 門亢症群では対照群に比べ門脈各部位における径の拡張が有意にみとめられたが, 門亢症群における拡張頻度は脾静脈系で最も高率であつた. 超音波による脾の大きさの計測値は血管造影による脾の大きさとよく相関し, 門亢症群の95%に脾腫がみられた. 門脈径と門脈圧, 脾の大きさと門脈圧との間にはいずれも直線的な相関関係はみられなかつた. 超音波により臍傍静脈, 左胃静脈などの遠肝性側副血行路が描出され, 門亢症の超音波による確定診断が可能であつた. 超音波検査は門亢症の異常所見を高率に描出することができ, 門亢症の非侵襲的な診断法として有用であつた.

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