1983 年 80 巻 7 号 p. 1461-1467
肝•胆道系におけるIgAの代謝機構を明らかにするため, 高速液体クロマトグラフィーおよびsolid phase radioimmunoassay (RIA) を用い, 経皮胆管ドレナージを施行した5症例の胆汁IgAの分子性状を検討した. 胆汁中免疫グロブリン (Ig) はIgAが最も高濃度で約50%を占め, ついでIgG, IgMの順であつた. その分子性状は dimer 型が60%を占め, 血清IgAの80%が monomer 型であるのに対し, 極めて対照的なパターンを示した. 胆汁IgAの起源を解明するため, それぞれのIgの selectivity index を求めると, dimer 型IgAおよびIgMは高値を示し, また dimer 型IgAは secretory component (SC) が結合した分泌性IgAであることが示され, これらIgAの選択的な輸送機構の存在が示唆された. 胆汁dimer 型IgAは分泌型が主体であるがSCを含まない dimer 型IgAの存在も推測された.