1983 年 80 巻 8 号 p. 1569-1574
臓器反射スペクトル解析法を内視鏡下に応用し, 易治性及び難治性胃潰瘍患者の潰瘍辺縁粘膜血液量, 胃内粘膜血液量分布, 及び胃酸分泌を測定し, 潰瘍難治化の病態について検討した. 潰瘍辺縁粘膜血液量は, 易治性潰瘍患者で潰瘍の治癒とともに増加し, H2 Stage に最大の増加を示すが, 難治性潰瘍患者では, 増加せず周辺粘膜血液量と同程度であつた. 潰瘍辺縁以外の胃内粘膜血液量分布は両群間に差は無かつた. 一方胃酸分泌は難治性潰瘍患者で高かつた. 又, 両者を同時に検討した症例において, 難治性潰瘍は潰瘍辺縁粘膜血液量増加の欠如と酸分泌亢進がみられ, それらの因子が潰瘍難治化に重要であると考えられた.