日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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大腸癌の静脈浸潤に関する臨床病理学的研究
小西 文雄
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1983 年 80 巻 8 号 p. 1599-1609

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抄録

大腸癌118病変に対し腫瘍部を全割し, hematoxyline•eosin (H•E) 染色および elastica van Gieson (E.v.G.)染色を行つた. 連続した切片で両染色を比較したところ, E.v.G.染色は, 静脈浸潤を認定するために不可欠であることが明らかとなつた. 粘膜下層の静脈浸潤は, 潰瘍化して消失してしまつている中心部では知ることができないので, 手術後の肝•肺転移を推定する上で, 固有筋層より深部における静脈浸潤と同一に論ずることはできないと思われた. 全割•染色における, 固有筋層外の静脈浸潤の程度は, 必ずしも手術後の肝•肺転移の発生頻度と相関せず, 静脈浸潤と肝•肺転移発生との間には, 他の因子も大きく関与しているものと考えられた.

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