日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ヒト胎児大腸フェノール•水抽出物の抗原性
多糖画分における抗原性の確認
北村 清明古川 裕夫三宅 健夫内野 治人片岡 悦子村地 孝
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1984 年 81 巻 1 号 p. 22-27

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抄録

Broberger と Perlmann の方法で, ヒト胎児大腸からフェノール•水抽出法で, 1つの抽出物を得た. この抽出物は, 彼らによれば, 潰瘍性大腸炎自己抗体の抗原となる. 同時に, 我々の過去の検討では, 潰瘍性大腸炎患者の細胞性自己免疫の抗原となり, モルモットによる動物実験で流血抗体も細胞抗体も作り得る幅の広い免疫原である. 今回は, この抽出物の抗原性を検討した.
本抽出物 (Original) を Sephadex G-200でゲル濾過し, 多糖画分 (PS画分) とOD 280nm画分に分けた. 雑種モルモット15匹を3群に分け, 第I群はPS画分と Freund's Complete Adjuvant (以下FCAと略す) で, 第II群はOD 280nm画分とFCAで, 第III群は生理食塩水とFCAで免疫し, 免疫後各モルモットの側腹部にて本抽出物, PS画分, OD 280nm画分, E. coli 014LPS, 生食の五種の抗原で皮内反応を施行した. 第I群では本抽出物, PS画分で遅延型陽性を示した. 第II群でも本抽出物, PS画分で遅延型弱陽性を示したが, OD 280nm画分では陰性であつた. これらの事実より, 本抽出物の抗原性が多糖に関連した部分にあることが確認された. E. coli 014LPSの皮内反応では, すべて免疫に用いた抗原と関係なく陽性を示した.

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