1984 年 81 巻 1 号 p. 72-81
X線CT (CT) による小肝細胞癌の診断能を明らかにするため, 5cm以下の肝細胞癌48例における腫瘤検出率, ならびに病理所見, 血管造影所見との対比によるCT像の成り立ちを検討した. 単純CT, 造影CTともに, 検出不能の主な原因は iso-dense であるためであつたが, 両者の併用により2cm以上の腫瘍では高率に検出可能であつた. 単純CTにおける腫瘍の density には, 癌部の出血, 壊死, 脂肪変性と非癌部の脂肪変性が関与した. 造影CTにおける腫瘍の density には, 癌部の出血, 壊死, 脂肪変性と血洞の広さとが関与した. CT像は病理所見と密接な関連をもつため, 肝細胞癌の確定診断や治療の効果判定に有力な手段として役立つと考える.