日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃•十二指腸潰瘍症例における食餌刺激性胃酸およびガストリン分泌反応
intragastric titration 法による検討
稲田 正男
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 81 巻 10 号 p. 2516-2525

詳細
抄録

健常対照7例, 胃潰瘍16例および十二指腸潰瘍19例の胃内にpH 5.5と2.5の2種類のbeef consommé soup を投与し, その胃酸分泌反応を intragastric titration 法で測定した. 同時に血清ガストリン値の変飼をRIA•キットを用して測定した. 胃内酸性化による分泌抑制の状況をみるために, pH5.5に対するpH2.5の胃酸およびガストリン分泌反応の百分比を求めた. 胃内酸性化により健常対照群と胃潰瘍群ではそれぞれ45%と48%の胃酸分泌抑制がみられたが, 十二指腸潰瘍群では僅かに35%であつた. IGRに関しても, 健常対照群と胃潰瘍群では62%と63%の抑制がみられたが, 十二指腸潰瘍群では15%に過ぎなかつた. これらの差異は統計学的に有意のものであつた (p<0.05). 以上の成績より, 十二指腸潰瘍症例には胃酸およびガストリン分泌に関する negative feedback mechanism の破綻の機序が存在することが明らかにされた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top