1984 年 81 巻 10 号 p. 2516-2525
健常対照7例, 胃潰瘍16例および十二指腸潰瘍19例の胃内にpH 5.5と2.5の2種類のbeef consommé soup を投与し, その胃酸分泌反応を intragastric titration 法で測定した. 同時に血清ガストリン値の変飼をRIA•キットを用して測定した. 胃内酸性化による分泌抑制の状況をみるために, pH5.5に対するpH2.5の胃酸およびガストリン分泌反応の百分比を求めた. 胃内酸性化により健常対照群と胃潰瘍群ではそれぞれ45%と48%の胃酸分泌抑制がみられたが, 十二指腸潰瘍群では僅かに35%であつた. IGRに関しても, 健常対照群と胃潰瘍群では62%と63%の抑制がみられたが, 十二指腸潰瘍群では15%に過ぎなかつた. これらの差異は統計学的に有意のものであつた (p<0.05). 以上の成績より, 十二指腸潰瘍症例には胃酸およびガストリン分泌に関する negative feedback mechanism の破綻の機序が存在することが明らかにされた.