日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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慢性肝疾患における糖新生能, とくに L-Alanine 負荷による検討
西村 晃
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1984 年 81 巻 11 号 p. 2754-2766

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抄録

肝癌11例, 非代償期肝硬変18例, 代償期肝硬変16例, 慢性活動性肝炎18例および対照健常成人10例に, L-アラニンを負荷し, 血糖値とそれに関与すると考えられる諸因子を測定し, 慢性肝疾患時におけるアミノ酸よりの糖新生能を検討した. L-アラニン負荷後, (1)血糖値は, 前2群では負の, 後3群では正の推移を認めた. (2)前2群は後3群に比し, 膵A細胞分泌能は著明に亢進していたが, 膵B細胞分泌能は低下していた. (3)前2群では, 高アラニン血症, 高乳酸血症が顕著であり, アラニンの利用障害が考えられた. (4)以上より, 慢性肝疾患では病変の進展とともにアミノ酸とくにアラニンよりの糖新生能は低下していると考えられた.

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