アルコールによる膵障害と肝障害の関連を明らかにするためアルコール性慢性膵炎 (CAP) における肝機能検査成績, 肝生検組織像を検討した. CAP 例では, 特発性慢性膵炎に比し高率に肝機能異常を認めたが, 肝組織像の検討では肝硬変は少なく肝線維症が主体であり軽度変化群も少なからず認めた. CAP 例の肝組織像の程度と膵石, 膵管像, 胆管像, 膵外分泌機能との間に明らかな関連はみられず, 飲酒総量との間には関連がみられた.
以上より, アルコールによる膵障害と肝障害の程度は必ずしも平行せず, またCAP例の肝障害はアルコール性の肝障害が基本であり, 慢性膵炎の病態に伴う二次的な影響は少ないものと考えられた.