1984 年 81 巻 3 号 p. 825-828
下剤であるセンナが, 胃粘膜PG量に影響を与えるか否かをラットを用いて検討した. その結果, センナ3mg/kg投与群では, 対照群に比し, 胃体部でPGE2 3.6倍 (p<0.025), PGI2 3.7倍 (p<0.01), TXA2 2.8倍 (p<0.01), 幽門部で, PGE2 2.9倍 (p<0.01), PGI2 3.4倍 (p<0.05), TXA2 1.5倍 (N.S.) と増加を認めた. センナ300mg/kg投与群でも, 用量依存的に増加が認められた. センナ300mg/kg投与群について, necrotizing agent (0.6N HCI) 惹起性胃粘膜病変に対する効果を検討すると, 潰瘍係数 (U.I.) 10.0±8.3と対照群 (U.I., 49.2±12.1) に比し, 病変の有意の抑制が認められた. これらの結果より, センナによる胃粘膜保護作用 (cytoprotection) は, 胃粘膜に存在する内因性PGを介して発揮される可能性が示唆された.