日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胆汁うつ滞患者における血漿 Apo E-rich HDLの分析法とその臨床的意義に関する研究
清島 満奥野 文隆青木 泰然吉田 洋山田 昌夫安藤 喬武藤 泰敏高橋 善弥太
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キーワード: 胆汁うつ滞症
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1984 年 81 巻 6 号 p. 1405-1416

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抄録

胆汁うつ滞症のHDL2分画 (1.063<d<1.125) は heparin-Sepharose affinity chromatographyにより, unbound, bound I, bound IIの3分画に分離された. unbound は Apo Eを含まず, 直径10nmの球状粒子であり, bound Iと bound IIは Apo Eを含み, Apo E-rich HDLと考えられた. 特に bound IIは Apo Eを多く含み, 一部連銭形成が認められた. また unbound に比べ, bound Iと bound IIはリン脂質と遊離コレステロールに富み, 蛋白質は減少していた. しかし bound IIには Apo Bも認められ, LDLおよびLp (a)が混入していると考えられた. 胆汁うつ滞症においては, Apo E-rich HDLの増加が著しく, その理由としてLCAT活性の低下以外に, 肝外起源のHDLの関与および Apo E-receptor を介した肝細胞における Apo E-rich HDLの異化障害なども示唆された.

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