1984 年 81 巻 6 号 p. 1453-1459
膵瘻犬を用いて, アルコールの血漿セクレチン分泌および膵外分泌反応におよぼす影響について検討した. 胃内アルコール単独投与により, 血漿セクレチンおよび膵液量, 膵HCO-3分泌は亢進した. しかし, 十二指腸内アルコール投与では, 明らかな血漿セクレチン分泌の増加は認められなかつた. Integrated secretin release では, 食餌+アルコール投与群では7.6±1.3ng/ml/120分と食餌単独投与群の4.5±0.7ng/ml/120分に比べて高値の反応が認められ, 膵外分泌反応でも増加亢進が示された. また, この高分泌反応は cimetidine の前投与により明らかに抑制された. 以上より, アルコール摂取による血漿セクレチン分泌亢進反応はアルコールによる胃酸分泌を介する反応と考えられた.