日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
合成基質を用いた血清 ribonuclease の 性状およびその臨床的意義
本田 昇司小森 宗治早田 正典椛島 淳船津 史郎福嶋 弘道赤司 文広田中 義人中村 憲章牧山 和也原 耕平原田 嘉文
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1984 年 81 巻 7 号 p. 1598-1606

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抄録

合成基質である Poly Cを用いて, 血清 ribonuclease の性状を調べるとともに, その臨床的意義について検討を加えた. 血清 ribonuclease は Poly Cを基質とした場合, 至適pHは7.4, 至適温度は55°Cで熱安定性であつた. また緩衝液や陽イオンの影響により, 至適pHおよび活性値に変動がみられたが,これらの酵素学的性状は, 血清を用いた場合癌患者と正常者との間に差を認めなかつた. 血清 ribonuclease は, 癌患者や良性の消耗性疾患で高値を呈したが膵癌に特異的なものではなく, 膵全摘とも無関係の変動を示した. 入院患者の血清 ribonuclease と尿中BUN/creatinine との間には正の相関がみられ, 本酵素は尿中BUN排泄の増減, すなわち体組織の蛋白エネルギー代謝(同化作用や異化作用)や腎からの排泄障害などとの関連が示唆されたが推測の域を出ず, 本酵素の上昇機序は不明であつた.

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