日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
小腸分泌性下痢における絨毛膜 alkaline phosphatase の役割
吉岡 政洋
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 81 巻 9 号 p. 1981-1988

詳細
抄録

コレラ毒素によるcAMPを介した小腸分泌性下痢において, 小腸絨毛膜の糖蛋白酵素である alkaline phosphatase の変動を検討した. ラット腸管内にコレラ毒素を投与後, 小腸管腔内と腸リンパ中にこの酵素活性の増加が認められたが, 絨毛膜上の酵素活性は減少せず小腸上皮内で酵素活性の産生が高まつている可能性が示唆された. Chlorpromazine や somatostatin を投与するとコレラ毒素による小腸分泌性下痢は抑制され, 同時に alkaline phosphatase 活性の小腸管腔内と腸リンパ中での増加は抑制された. 逆に L-phenylalanine により小腸 alkaline phosphatase 活性を阻害するとコレラ毒素による分泌性下痢は抑制され, この病態に小腸 alkaline phosphatase が重要な役割を果している可能性が示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top