1984 年 81 巻 9 号 p. 1989-1994
Macrophage (mφ) にグラム陰性菌から分離した lipopolysaccharide (LPS, 5μg/ml) を添加して培養すると, mφは活性化されて cell-to-cell の機序で分離肝細胞を障害するようになる. しかし, 低濃度のLPS (1μg/ml) をmφに添加しても, そのmφは分離肝細胞の障害を誘導しない. このような低濃度のLPSでmφを処理する場合に, 同時に生理的濃度に近い女性ホルモンでmφを処理すると, mφは肝細胞障害を発揮した. この女性ホルモンのmφ-mediated cytotoxicity (MMC) の増強作用は生理的濃度の男性ホルモンの同時添加によつて消失した. なお, 女性ホルモンを単独にmφに添加しても, mφは分離肝細胞を障害しなかつた. 以上の結果から, 性ホルモンがMMCを調節する可能性が示唆された.