日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
免疫性肝障害と性ホルモンに関する実験的研究
VI. 活性化マクロファージによる肝細胞障害誘導に及ぼす性ホルモンの影響
筒井 ひろ子溝口 靖紘加藤 寛子福井 美智留新井 孝之池本 吉博宮島 慶治阪上 吉秀東森 俊博山本 祐夫門奈 丈之森沢 成司
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1984 年 81 巻 9 号 p. 1989-1994

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抄録

Macrophage (mφ) にグラム陰性菌から分離した lipopolysaccharide (LPS, 5μg/ml) を添加して培養すると, mφは活性化されて cell-to-cell の機序で分離肝細胞を障害するようになる. しかし, 低濃度のLPS (1μg/ml) をmφに添加しても, そのmφは分離肝細胞の障害を誘導しない. このような低濃度のLPSでmφを処理する場合に, 同時に生理的濃度に近い女性ホルモンでmφを処理すると, mφは肝細胞障害を発揮した. この女性ホルモンのmφ-mediated cytotoxicity (MMC) の増強作用は生理的濃度の男性ホルモンの同時添加によつて消失した. なお, 女性ホルモンを単独にmφに添加しても, mφは分離肝細胞を障害しなかつた. 以上の結果から, 性ホルモンがMMCを調節する可能性が示唆された.

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