日本消化器病学会雑誌
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ヒト胃癌および腸上皮化生におけるγ-glutamyl transpeptidase 組織内活性の定量的•酵素化学的検討
岡 紳爾野田 健一村田 誠新開 泰司原田 元多田 正弘衣川 皇博松田 和也柳井 秀雄岡崎 幸紀竹本 忠良
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キーワード: 胃癌, 腸上皮化生
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1985 年 82 巻 10 号 p. 2538-2543

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抄録

γ-glutamyl transpeptidase (GGT) の胃癌および腸上皮化生における出現意義を究明する目的で15例の胃癌組織に含まれるGGT活性の定量的検討と38病変のGGTと alkaline phosphatase (ALP) 活性の局在の組織化学的検索を行なつた.
組織のGGT活性は分化型癌24.9±15.9(U/g.protein), 未分化型癌6.0±2.4, 腸上皮化生8.2±1.3, 胃底腺粘膜5.2±1.1であり, 分化型癌で有意に高値であつた. GGT 活性の局在は, 腸上皮化生では全例に活性の存在する部位がみられ, しかもそれらはALPの局在との間に一致性がみられた. さらに分化型癌では74%, 未分化癌では40%の症例にみられ, 局在頻度は分化型癌で有意に多くみられた.
以上より, 胃癌におけるGGP出現は一元的なものではないと考えられるが, とくに分化型癌と腸上皮化生の関連を究明するうえにおいてGGTが重要な指標となりうることが示唆された.

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