日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
原発性胆汁性肝硬変症におけるPPD特異的免疫応答低下機序の解析
母娘発生例よりの検索を中心に
西原 利治前田 隆藤川 正直栄枝 弘司富田 昭大西 三朗伊藤 憲一
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 82 巻 10 号 p. 2576-2581

詳細
抄録

原発性胆汁性肝硬変症 (PBC) では種々の自己免疫現象を伴う一方, Mantoux 反応の陰性化など外来抗原に対する免疫応答の低下が知られている. このような外来抗原に対する反応性低下の機序を明らかにするためPBCの母娘発生例を中心にPPDに対する反応をモデルとし検討を加えた. その結果, (1) PBC患者単球はPPD刺激下でT細胞に対して充分な抗原提示能を有し, 従来想定されていた suppressor MΦによるリンパ球幼若化能に対する抑制が認められないこと, (2) PPD刺激下における単球のIL-1産生能は健常者群とPBC群間に差を認めないが, リンパ球のIL-2産生能は健常者群に比しPBC群で有意に低下している事が明らかとなつた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top