1985 年 82 巻 10 号 p. 2576-2581
原発性胆汁性肝硬変症 (PBC) では種々の自己免疫現象を伴う一方, Mantoux 反応の陰性化など外来抗原に対する免疫応答の低下が知られている. このような外来抗原に対する反応性低下の機序を明らかにするためPBCの母娘発生例を中心にPPDに対する反応をモデルとし検討を加えた. その結果, (1) PBC患者単球はPPD刺激下でT細胞に対して充分な抗原提示能を有し, 従来想定されていた suppressor MΦによるリンパ球幼若化能に対する抑制が認められないこと, (2) PPD刺激下における単球のIL-1産生能は健常者群とPBC群間に差を認めないが, リンパ球のIL-2産生能は健常者群に比しPBC群で有意に低下している事が明らかとなつた.