日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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肝疾患における血清チロシンの測定とその臨床的意義
遠藤 了一上野 幸久佐藤 源一郎石井 誠佐藤 亮五
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1985 年 82 巻 10 号 p. 2582-2593

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抄録

慢性肝疾患における血清Tyr濃度を Wong らの蛍光法を用い測定した. 対象は慢性肝炎88例 (147回), 肝硬変69例 (132回), 肝性脳症6例 (12回), 肝癌合併10例 (21回) である.
血清Tyrは慢性肝炎活動型, 代償性肝硬変で高値を示し, 非代償性肝硬変では明らかに有意の上昇を示すものが多く, Fischer らのBCAA, AAA比 (MR) とTyrは有意の逆相関を示した. またTyrは HPT, ChE活性などと相関を示すが, GOT, GPTなどとの相関は認められなかつた.
これらの結果から血清Tyrの測定は Fischer らのMRとほぼ同等の臨床的意義を有するもので, 肝の代謝機能の低下の程度をよく反映し, 有用な肝機能検査であると考えられた.

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