1985 年 82 巻 10 号 p. 2613-2621
膵瘻犬に Roux en Y 型の胆嚢空腸吻合術を施し, biliary diversion の膵機能に及ぼす影響を検討した. 0.375~1.5CHRU/kg/hrのP-S刺激下では膵液量, 重炭酸イオン濃度および排出量, アミラーゼ濃度および排出量のいずれもが biliary diversion 後に有意に低下したのに対し, 3.0~6.0CHRU/kg/hr では膵液量, 重炭酸イオン排出量は逆に有意に増加した. biliary diversion 後に血中膵グルカゴンの有意の上昇が認められ, これが0.375~1.5CHRU/kg/hrでの膵外分泌低下に関与したものと考えられた. 3.0~6.0CHRU/kg/hrでの膵液量, 重炭酸イオン排出量増加の機序は不明だが, 特殊病態下の膵外分泌の評価には dose response curve による比較検討が重要であることが示唆された.