遠位回腸病変を有する非切除クローン病(非切除群)14例, 100cm以上の回腸切除クローン病(切除群) 5例の胆汁中および便中胆汁酸を分析し以下の成績を得た. 両群で胆汁中胆汁酸濃度が低下, 便中胆汁酸排泄量が増加し, 胆汁酸吸収障害の存在が示唆された. 非切除群で便中胆汁酸濃度が高値, 便中脂肪量が正常~軽度に増加し, 切除群で便中胆汁酸濃度が低下傾向, 便中脂肪量が著明に増加し, 便量増加に伴う希釈を考慮すると, 前者で胆汁酸性下痢, 後者で脂肪酸性下痢の関与が推定された. 胆汁中G/T値は便中胆汁酸排泄量と正の相関を示し, 広範な遠位回腸病変や切除例で上昇していたが, 軽度の遠位回腸病変例では正常~軽度の上昇にとどまつていた.