1985 年 82 巻 12 号 p. 2896-2903
腸管由来の抗原に対する免疫応答での正常肝の役割を検討. テスト抗原としてハプテン (dinitrochlorobenzene, DNCB) を用い, 免疫応答の検討は遅延型過敏症 (DNCBに対する接触過敏反応, ツベルクリン反応) の検出と抗DNP抗体量の測定にて行なつた. 1) DNCBの感作前経口投与により接触過敏反応および抗DNP抗体産生の抑制がみられた. しかし, ツベルクリン反応は抑制されず, この接触過敏反応の抑制は特異的であつた (Chase-Sulzberger 現象). 2) 腸間膜静脈および末梢静脈より感作前にDNCBを投与し, この現象における肝の役割を検討した. その結果, 前者で接触過敏反応の抑制がみられ, Chase-Sulzberger 現象の発現に肝が関与していることが推測された.