日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
B型慢性肝疾患における HBV-specific DNA polymerase 活性の変動
とくに肝障害との関連について
川上 広育吉川 正哉松浦 寿二郎川本 広夫渡辺 恭行池本 吉博末盛 彰一梶山 梧朗相光 汐美竹野 弘
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1985 年 82 巻 2 号 p. 239-246

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抄録

HBV-specific DNA polymerase (DNA-P) 活性の測定法について検討すると共にHBs抗原陽性透析患者, Asymptomatic HBsAg carrier 及びB型慢性肝疾患患者にてDNA-P活性値を測定し, HBVの増殖と肝障害の発症との関連について検討した. 著者らの方法でのDNA-P活性の正常値 (陰性) は18±5cpmで30cpm以下を陰性とした. HBe抗原陽性 (MO, RIA法91名中81名 (89%) でDNA-P活性は陽性を示し, HBe抗原 (RIA法) との相関はr=0.329であつた.
DNA-P活性値と肝障害の重症度とは逆相関し, トランスアミナーゼの上昇よりも早期にDNA-P活性は最高値を示し, HBVの増殖と肝障害の時期にズレを認めた.
以上の成績から慢性HBVキャリアーでは肝内でのHBVの増殖や放出と肝障害は直接的な関係はなく, むしろ肝細膜に放出されたHBV及び肝細胞膜の変化に起因する宿主例の免疫反応の重要性が示唆された.

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