日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
小肝細胞癌の超音波診断
検出能の限界と診断上の問題点
栗岡 成人貫野 徹金 鎬俊戸田 進宋 健二仲島 信也岡 博子朝井 均黒木 哲夫針原 重義山本 祐夫門奈 丈之
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1985 年 82 巻 2 号 p. 247-254

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抄録

肝細胞癌119例を対象とし, 特に直径3cm以下の小肝細胞癌31例の超音波診断 (以下US) の問題点を検討した. 小肝細胞癌のスクリーニング検査法としてUSは有用であつたが検出不能例も少なくなかつた. 直径2cm以下の小病変ではUSによる質的診断は困難であつた. また echogenic な小肝細胞癌が32%に認められ鑑別診断上注意を要すると思われた. 次に主腫瘍径3cm以下の25例, 64結節につき血管造影と比較検討した結果, 直径1cm以下の小病変の検出は現在のUSの装置では困難と思われた. USの死角となり易い横隔膜円蓋部付近の他に, 肝硬変による肝萎縮, 肝の変形, 肝内エコーの不整化が検出不能の原因であつた.

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