日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
胆管膵管の合流異常と胆嚢癌の関連に関する臨床的研究
宇野沢 隆夫木村 邦夫大藤 正雄税所 宏光守田 政彦江原 正明粕谷 直樹土屋 幸浩奥田 邦雄
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1985 年 82 巻 3 号 p. 473-482

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抄録

異常に長い共通管をもつ胆管•膵管の合流異常と胆嚢癌の関連につき臨床的に検討した. 15mm以上の異常に長い胆管•膵管の共通管をもつ合流異常例では, 胆管末端部 (括約筋) の収縮運動は合流部より常に下位の共通管の範囲にとどまることを明らかにした. なお, このような合流異常例は先天性総胆管拡張症合併と非合併に分類された. 胆嚢癌症例のうち胆管•膵管の合流部が明瞭に造影された92例と, 胆管•膵管合流異常64例につき検討したところ, 合流異常例における胆嚢癌合併は23.4%と高率であり, これは合流異常 (-) 例における胆嚢癌合併率1.9%に比して有意に高値 (p<0.001) であつた. 特に先天性総胆管拡張症非合併の合流異常例においては71.4%と極めて高率であつた. 一方, 胆嚢癌例における合流異常合併率は16.3%であり, これは胆嚢癌非合併例における頻度2.8%に比して有意に高率であつた (p<0.01). このように合流異常と胆嚢癌は密接な関係をもち, 合流異常は胆嚢癌の発生に重要な因子であることが明らかにされた.

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