日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
腹部CTによる急性膵炎の重症度判定の試み
発症早期のCT所見とその計量化
畠山 元〓 桂植金 貞孝中作 修新田 貢頼 明信伊藤 佐喜男
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1985 年 82 巻 3 号 p. 500-507

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抄録

急性膵炎に関する既報の重症度判定基準の多くは臨床症状や臨床検査所見に基づくものであり, しかも統一されていないのが現状である. 我々はCT所見を本症の重症度判定に用いる目的で, 臨床的に急性膵炎と診断し, しかも24時間以内 (発症より48時間以内) に腹部CTを行なつた13症例についてCT所見のスコアリングからCTスコアを計算し, 同時に算定した臨床スコアと合わせ検討した. CTスコアには膵の変化, 膵周囲 (脂肪組織および Gerota 筋膜) への炎症の波及および膵外の液貯留などの10項目を, 臨床スコアには1977年の日本膵臓病研究会で検討された臨床症状8項目および検査14項目を採用した. その結果, 発症早期のCT像から得られたCTスコアは客観的に急性膵炎の病変の広がりを知る好適な指標となり, 手術適応の判定基準として役立つとともに重症度判定にきわめて有用と思われた. 従つて, 急性膵炎の重症度判定基準に本研究のCTスコアを加えた方がよいと考えられる.

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