日本消化器病学会雑誌
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劇症肝炎におけるδ感染症の検討
森 順子田中 晶子伊藤 よしみ小俣 政男奥田 邦雄
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1985 年 82 巻 4 号 p. 610-613

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抄録

本邦における劇症肝炎による感染症が関与しているか否かを検討する為, 本邦の劇症肝炎35例, 亜急性肝炎6例の肝組織標本について酵素抗体法を施行した. 同法の有用性を検討する為, 米国ロスアンジェルス地区のB型劇症肝炎についても同様に行つた. 肝内のδ抗原は本邦劇症肝炎, 亜急性肝炎例は全例陰性であつた. 米国劇症肝炎例では, 同地区の他の報告と同様16例中6例 (37.5%) に認められ, 酵素抗体法が組織崩壊の著しい劇症肝炎においてもδ抗原の検索に有用である事を示した. また現在までの劇症肝炎8例を含む本邦各種肝疾患216例の血中 anti-δ抗体の検索結果を合わせて報告する. 我々の用いた肝内δ抗原の酵素抗体法による検索はδ抗原入手困難な研究施設でも容易にδ感染症の検索が可能であり, またδ感染症が麻薬使用者に多い点, 多数の海外旅行者によるδの国内移入の可能性を考えると, さらに対象を拡大し, 多くの施設でδ感染の検索をする必要があると考えられる.

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