1985 年 82 巻 5 号 p. 1354-1359
リアルタイム断層ドップラー血流映像装置を用いて肝疾患例25例と, 肝に異常を認めない10例につき, それらの肝内および肝近傍の脈管の観察を行ない, 同装置にて得られる画像の特性について検討した.
本装置により肝内外の脈管の同定が容易となり, 又, 脈管内の血行動態学的な変化も容易に追究しえた. 一方, 肝硬変例のように遅い門脈血流の場合は, 約半数例で門脈 (枝) のカラー表示が得られたにすぎなかつた. しかし, 肝硬変例では特異的な所見として Werren シャント術後のシャント流や, ヘパトーマを合併した場合は腫瘍内の動脈等のカラー表示を得ることができた. 本装置は肝および肝疾患の観察に於て有用な情報を提供した.