日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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胃癌における組織内 Carcinoembryonic antigen (CEA) の局在と血清CEA値および予後との相関に関する研究
豊野 充
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1985 年 82 巻 6 号 p. 1502-1511

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抄録

胃癌における組織CEAの局在を明らかにするため, 光顕には胃癌切除130例のホルマリン固定•パラフィン切片を, 電顕には胃癌新鮮標本10例のPLP固定•凍結切片を用いて酵素抗体法によりCEA染色した. さらに術前の血清CEA値および予後との相関を検討した. 癌組織の組織CEA陽性率は74.6%, 組織型別にはmuc, sig 100%>pap 83.3%>tub 76.5%>por 65.1%の順に高かつた. 光顕的にCEAは細胞膜や胞体内に陽性, 電顕的に basolateral plasma membrane, 粗面小胞体, 核周囲腔, Golgi 装置などに陽性像を認めた. 血清CEA陽性率は17.9%, 血清値は組織CEA陽性群で有意に高く, stage が増す程高値を示した. 組織CEA陽性群で予後不良の傾向がみられた.

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