1985 年 82 巻 8 号 p. 1865-1874
超音波内視鏡による胃癌深達度判定方法を示し, その診断能と問題点について切除標本の病理所見と対比して検討した.
深達度判定は, 現在の超音波解像能から粘膜癌 (m癌), 粘膜下層癌 (sm癌), 固有筋層および漿膜下層癌 (pm•ss癌), 漿膜癌 (s癌) の4段階とした.
今回呈示した判定方法による病理診断と対比した正診率は, m癌15例中13例, 87%, sm癌12例中10例, 83%, pm•ss癌19例中16例, 84%, s癌4例中4例, 100%であつた.
誤診例の検討から, 問題点として癌部と潰瘍瘢痕部識別の困難性, 胃壁層構造の変化を示さないわずかな癌細胞浸潤は捉えられないことが指摘された.