1985 年 82 巻 8 号 p. 1932-1939
超音波ドップラー法による血流測定を臨床応用し, 腹部動脈血流を定量的に測定する事を目的として, 犬で基礎的検討を行い, 健常人の上腸間膜動脈 (SMA), 脾動脈 (SPA), 総肝動脈 (CHA) の血流計測を行つた. 犬SMA, 頚動脈で Doppler spectrum の最大偏位周波数の時間積分より時間平均流速を求め, Mモードで得た時間平均断面積を乗じて算出した時間平均流量は, 電磁流量計と良好な一次相関(r=0.98)を示し, 両者の比は1:0.62であつた. 健常人SMA, SPA, CHAの流量は, 各々478±166, 370±181, 254±131ml/min (mean±S.D.)で, 各々の pulsatility index は平均0.85, 0.75, 0.79とSMAがSPA, CHAに比し有意に大 (p<0.001) でSMAとSPA, CHAの血管抵抗の違いが示唆された.