1985 年 82 巻 9 号 p. 2082-2088
食道静脈瘤を有する肝疾患15例, propranolol を長期投与し, 門脈圧, 門脈血流量及び食道静脈瘤の経時的変化について検討した. Propranolol の長期投与により, 門脈圧及び門脈血流量は低下を示し, 更に食道静脈瘤の改善が13例中10例 (76%) に認められた. また, 経過中, 重篤な合併症や肝機能障害の増悪は認められなかった. 従つて, 本療法は食道静脈瘤の非観血的療法として期待がもたれ, 予防的投与や現在施行されている治療法との併用療法として適応が考えられた.