1986 年 83 巻 1 号 p. 40-46
消化器のMRI (磁気共鳴映像法) 診断における, 発泡剤•グルカゴン併用の造影効果について検討した. 上記造影剤投与前後で, 多方向マルチスライスで得られたMR像において, 各臓器の臓器境界描出能を比較検討した. 経口的発泡剤投与により, 以下の如き造影効果を認めた. 臓器同定能の向上は, 胃の横断•冠状断•矢状断の各断層像で著明に認められ, 十二指腸の, 球部•下行脚•水平脚の描出能も小数例で向上した. また膵の同定能は, 横断•矢状断の各断層像で向上した. 臓器境界の診断能は, 胃と膵, 肝左葉と胃, 胃と腸, 胃と脾の境界が, 横断•矢状断の各断層像で向上した. これらの成績から, グルカゴン•発泡剤の投与は, 胃および胃周囲•膵•肝左葉•脾の病変のMRI診断において, その診断能を向上させると思われた.